いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。


でも、荒嶋くんって、パッと見るとクールそうに見えるけど、とても優しい人なんだな。


私、荒嶋くんともっと仲良くなりたい。


そこまで思ってから、私はハッとする。


………ダメだよ、ダメ。


誰かと仲良くなりたいなんて思っちゃ、絶対ダメなの。


全てを忘れてしまう私にとっては、“誰かと仲良くなる”なんて、許されないことなんだから。


「……松岡さん?」


急に黙り込んでしまった私を心配したのか、荒嶋くんは不安そうに眉を下げ、私の肩に手を置いた。


「………めてよ」

「え?」

「さ、わらないで………」


私の口から、思ってもない言葉が出てくる。


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