いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。


それからしばらく、私は荒嶋くんの後ろ姿を呆然と見つめていた。


すると荒嶋くんは私の視線に気付いたのか、突然こっちに振り向く。


「……立てる?」


そう言って、優しく手を差し伸べてくれる荒嶋くん。


私は、その手にそっと自分の手を重ねる。


「……いっ、たい……」


握った手に力を込めて立ち上がろうとしたとき、また、右足首に鋭い痛みが走った。


「え?大丈夫?」

「あ、いや……。ちょっとね、足首捻っちゃったみたい」

「それ、大丈夫じゃないじゃん。歩けそう?」

「……ん。ちょっとズキズキしてるけど、少しずつなら歩けそう」


私が苦笑いでそう言うと、彼は少し考えるように眉間にしわを寄せた。


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