いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。
胸がすごく苦しくて、涙が出そうだった。
「ねぇ、春斗……」
「なに?」
「仁奈さんってさ……」
私はそこまで言ってから、口をつぐんだ。
“仁奈さんってさ、春斗の彼女なの?”
聞きたいのに、聞けない。
「い、たっ……」
そしたら急に右頬に鈍い痛みが走って、びっくして顔を上げると、春斗がなんだか楽しそうに笑って私の頬をつまんでいた。
「心咲、なにか勘違いしてない?」
「え?」
「仁奈は、俺の幼なじみだよ?」
「………へ?」
春斗はもっと目を細めて笑う。
………幼なじみ?
春斗と仁奈さんが?