いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。
お姉ちゃんは、“またおふざけして、私をだまそうとしてるんでしょ”って笑ってたけど、本当に分からなかった。
その時は尋常じゃないくらいの恐怖を感じたから、今でもその出来事をはっきりと覚えてる。
「そうですか……」
お医者さんはスラスラと動かしていたペンを止めると、私の目をまっすぐと見つめてきた。
………なに?
その瞳がとても真剣で、背中にひとつ冷や汗が伝う。
「松岡さん。脳の検査をしてみましょうか」
「……え?」
「少し気になる症状があるので、詳しく見てみましょう」
たんたんと事を進めていくお医者さん。