いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。


お姉ちゃんは、“またおふざけして、私をだまそうとしてるんでしょ”って笑ってたけど、本当に分からなかった。


その時は尋常じゃないくらいの恐怖を感じたから、今でもその出来事をはっきりと覚えてる。


「そうですか……」


お医者さんはスラスラと動かしていたペンを止めると、私の目をまっすぐと見つめてきた。


………なに?


その瞳がとても真剣で、背中にひとつ冷や汗が伝う。


「松岡さん。脳の検査をしてみましょうか」

「……え?」

「少し気になる症状があるので、詳しく見てみましょう」


たんたんと事を進めていくお医者さん。


< 7 / 271 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop