いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。


少しずつだけど、胸のモヤモヤが晴れていくのが自分でもよく分かった。


ずっと気にしていたことの真相が分かって、心の奥底がホッとする。


「でもさ、心咲がちゃんと電話に出てくれてよかった」


そう言ってイタズラな笑みを浮かべる春斗が、やっぱり大好きだと思った。


……でも、言えないよね。


この気持ちは、私の中だけでの秘密。


春斗に病気のことを知られてしまえば、きっと春斗は私を捨てる。


春斗は、瑠希とは違う。


春斗は、優しい人だ。


そう痛いほど分かってるのにね、どうしても怖いんだよ………。


「……春斗。私と、ずっと友達でいてね……」


今日の私は、これを言うのが精一杯だった。


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