いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。


このあと春斗から言われる言葉がなんとなく想像できてしまった私は、今すぐにでも耳を塞いでしまいたくなった。


「俺は、心咲が好きだ……」


でも、はっきりと聞こえたその言葉。


春斗が私に言ってくれた“好き”は、私の心をさらに苦しめた。


春斗の傷ついた顔、春斗の涙を見たくなくて、私はグッと顔を伏せる。


「でも、心咲にはもう好きなやつがいるんだもんな。ごめんな、今さらこんなこと言って、心咲を困らせて」


悲痛なその言葉に、私は首を横に振るのが精一杯だった。


春斗が、私に向かって一歩一歩足を進める。


「………これ。心咲のために買ったものだけど、俺が持っててもつらいだけだからさ。いらなかったら、捨ててくれていいから」


そして、なにかを手に握らされる。


そっと自分の手元を見ると、なにやら赤くて高級そうな長細い箱。


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