いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。
「……こっちこそ、今までありがとう」
その言葉に俯いていた顔を上げると、そこにはあの、私の大好きな優しい笑顔があった。
彼は私の顔を見てもっと目を細めると、
「幸せになれよ」
なんて言葉を最後に、私に背を向けて去っていく。
その背中が遠ざかって小さくなるのを目に映しながら、私は春斗からもらった赤い箱を開けた。
「……っ、バカ……っ」
中に丁寧に入っていた“それ”を見るなり、私の瞳からは大量の雫が溢れ出す。
春斗がくれた赤い箱は、どこかのお店のジュエリーボックスで、その中に入っていたのは、小さなパールがついたネックレス。
私は数日前に、春斗に言った言葉を思い出した。