いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。
───次は、日田原(にちだわら)~。次は、日田原です。お降りのお客様は……。
夢の中で、そんなアナウンスが聞こえる。
……ん、もう日田原か。
早いなぁ………。
心の中で、楽観的にそんなことを思う私。
………ん、待てよ。
「……はっ」
私は閉じていたまぶたをバッと開けた。
そして、車内の周りをキョロキョロと見渡す。
車内には、私と同じ制服に身を包んだ生徒がちらほらいて、電車を降りる準備をしていた。