いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。
私はその光景に、胸をホッとなでおろす。
よかった……。
もう少しで、電車を降り忘れるところだった。
ここで寝過ごして降り忘れてしまうと、大遅刻になっちゃうよ。
そしたら、お父さんにもお母さんにも、学校の先生にも怒られちゃう。
……和田っち先生、普段は面白くて優しいけど、怒ると怖いって有名だからな。
私はもう一度胸をホッとなでおろし、手に持っていた携帯をスクールバックの中にしまうと、周りの生徒と同じように、電車を降りる準備を始めた。