いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。


私はそのオレンジジュースを開けて一口だけ飲むと、ペットボトルと財布をスクールバックにしまう。


「……そろそろ、学校に行こうかな」


私はひとりでそう呟くと、学校への道のりを歩こうと駅の入り口を出た。


緑色の葉っぱが風に揺れ、爽やかな自然の匂いが鼻をかすめる。


私はいつものように時折青空を見上げながら、学校へと向かって足を進めていた。


でも、その時。


───ズキン、ズキン。


またあの時のように、頭の奥の方が音をたてて痛みだす。


……やばい。


そう思った次の瞬間、私は知らない場所にひとりで立っていた。


「ここ、どこ……?」


知らない場所にいる自分が、とても怖い。


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