風旅記
下積み

 遅すぎる!お前ホントに十五歳か?

 ね、猫さんと同じペースで歩ける人類は
 いませんから。

 そんなもんなのか、人間は。

 そういうものです。

 使えねぇな。

猫に貶される少年。あまり居ないだろうな
そもそも何故猫さんと会話出来ているのか
僕も良くわかってない。

 さっさと歩けっつってんだろ!

 ちょっと待って下さいよ。

その猫さんが案内してくれたとこに来たが
何もない。人なんて見当たらない。

 何もないです。猫さん。

 黙れ。

唐突に怒られた。なんて理不尽…
そう思っていたら奥から人が出てきた。
そうか、暗闇でも見えるんだ。猫さん。
羨ましいなぁ。

 おい、ボサッとしてんなよ。

 どうすればいいかわかりません。

 馬鹿者。体を貸せ。

猫さんと僕は体を取り替える事が出来る。
何で出来るのかは良くわからない。
前に下積みをしたらしいが、覚えてない。
というより、下積みとは?の状態。
申し訳ないけど、僕は猫さんとの意志疎通がたまに取れないのだ。何故だろう?
猫さんが僕の体に入るとき、僕は猫さんの体に入れてもらう。とても低い視線。
あまり見ない景色を、堪能する。

 やべっ

その言葉が聴こえた瞬間、体が持ち上がる

 失敗ですか?
 
 自爆は想定外だろ

僕は、ああ…、と言って顔をしかめる。
ツイてないなぁ。今日も駄目か。

 いつまでこの旅は続くんだろ

ボソッと発した僕の言葉に、猫さんは
哀しそうな顔をした。
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