月下美人が堕ちた朝

「いい加減にしろ。
そんな男のどこが良いんだよ」

そう言ったのは、幼馴染みのカズヤだった。

彼への借金を、二十万近く滞納していたときだ。

カズヤは、あたしと同い年だと言うのに、とにかく真面目で、考え方が古くて固い。

でもあたしにとっては良き兄貴分でもあった。

だからこそ、黙って二十万も貸してくれたのだろう。

「お前、俺以外の人からも借金してんだろ?
有り得ないよ、そんなの。
そんなに遊びたいなら、寝る間も惜しんでバイトでもしろよ。
俺はもう二度と貸さないからな」

カズヤは正論しか言わないし、カズヤの言葉が正しいことは分かっていた。

金を借りる当てもなくなったとき、あたしは漸く適当な居酒屋の面接を受けて働き出した。

そんなあたしを見て、スバルも焦ってバイトを始めたけど、どれも長続きしなかった。

ラーメン屋、寿司屋、古着屋、スーパーのレジ打ち、テレアポ…。
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