月下美人が堕ちた朝
20060725pm07:46
ようやく気持ちが落ち着いたとき、カズヤが時計を見て言った。
「多分お袋、まだ飯食わないで待ってる。
下に行こう」
あたしは頷いて、カズヤの背中を見ながら部屋を出た。
階段を一段ずつ降りるごとに、内蔵が奇妙な動きをしているような気がする。
どうしようもない体調の悪さは、今に始まったことじゃない。
あたしは深呼吸をして、広すぎるダイニングに足を踏み入れた。
「あらアミちゃん起きたの?
良かったらご飯食べて行って」
カズヤの言う通り、ユウコさんは夕飯に一口も口を付けずに待っていた。
あたしは謝りながら、昔と変わらない大きなイタリア制の椅子をひいてカズヤの隣に座った。
「今日はアミちゃんの好きなハンバーグにしたの」
ユウコさんはキッチンで、お手製のソースを温め直しながら言った。
テーブルにはオレンジ色のガーベラが飾られてあって、綺麗だな、と、思った。