月下美人が堕ちた朝
20060725pm08:29
全てをフラットに戻したかったんだ。
環境が変われば自分も変わって、自分が変われば周りも変わると思ってた。
母親と離れて暮らすことで、あたしの中の何かが変わって、そしたら母親も変わってくれるじゃないかって、そう思ってた。
甘かったかな。
逃げてばかり居たから。
向き合わずに居たから。
全てのことに。
だけどアイディンティティを壊すわけにはいかなかった。
それを創りあげてきた、過去の自分が可哀想だから。
こんなときに限って、自分の親子関係を冷静に判断してしまうのはどうしてなんだろう。
自分が母親になるから?
愛し方も叱り方も分からないあたしが?
あたしは先程の席に座り、ホットミルクから立ち上る湯気を見ながら、そんなことを考えていた。
ユウコさんはカズヤに部屋に行くようにと言いつけ、向い側の席でゆっくりと話してくれた。