月下美人が堕ちた朝
「女の勘じゃないけど、今日久しぶりに見たときから、何と無く妊娠してるんじゃないのかなって思った。
検査しなくちゃ、分からないけど」
あたしは黙ったまま、まだ温かいカップに手を当てた。
手がやけに冷えていて、カップの温度が気持ち良い。
ユウコさんが続けて言った。
「吐気がするのは、今日だけじゃないでしょう?」
あたしは記憶を辿り、ハッとする。
一ヶ月前から吐気が続いている。
自分ではストレスだと思っていたけれど。
「もし本当に妊娠していたら…別れても、その人は父親よ」
現実離れした、嘘みたいな、本当の話。
あたしに突き付けられている事実。
もう、逃げることなんて出来ない。
「アミちゃんの、お母さんの話して良い?」
突然のことに、あたしは思わず聞き返す。
確に母親とユウコさんは仲が良かったのは知っている。