月下美人が堕ちた朝
あたしはこの夏の夜の空気が大好きで、眠れない夜はスバルを誘って散歩をした。
何処に行くわけでもない。
近くのコンビ二までゆっくり歩き、スバルは缶コーヒーを買って、あたしはミルクティーを買う。
またゆっくり歩いて、サクラザワ公園に行く。
ブランコに乗って、星空に煙草の煙を吐き出したりして。
そんなことを考えていたら、自分の体にニコチンが足りないのことに気付く。
楽譜や教科書が乱雑に詰め込まれているバッグから、煙草と携帯灰皿を取り出して歩き煙草をした。
通りすぎる小綺麗な女性が、怪訝そうな表情であたしを見る。
それでも気にしない。
どうぞあたしを罵ってください。
どうかあたしを嘲笑ってください。
あたしは恋人を他人に殺された、どうしようもなく罪深い人間です。
あたしは可哀想なんかじゃない。
スバルはあたしのせいで死んだ。