月下美人が堕ちた朝
20060725am08:55

立て続けに煙草を五本吸った。

さすがに喉が痛い。

あたしはダルイ体をキッチンに運んで、小さな冷蔵庫からミネラルウォーターのボトルを取り出す。

寝ていないせいか、腕に上手く力が入らない。

蓋を開けるのにも苦労する。

「可愛い子ぶってんじゃねーよ」と言いながら、簡単に蓋を開けてくれる人は居ない。

あたしは布巾を蓋の上に被せて、何とかそれ開けた。

冷たい液体が、体中に染みていくのが分かる。

あたしはボトルを握り締めたまま、部屋に戻る。

ラジオは陽気なDJが明日の予告を、また変な英語で話している。

気が抜けるような声だ。

ラストのジングルが流れると、ニュースに切り変わる。

あたしはベッドの脇にもたれて、昨日のことを思い出していた。

何故昨日、別れ話になったのか、あまり覚えていない。

記憶が断片的に蘇り、まるで昔の映画のフィルムみたいにぼんやりとしている。
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