月下美人が堕ちた朝
確か昨日は、あたしは一日中暇で、夕方からスバルが好きなキノコのクリームパスタを作ってた。
あたしは単純なミートソース好きだけど、バイトを頑張っているスバルへご褒美のつもりで作った。
「んまい」と言って、口元にクリームをつけながら食べる、可愛いスバルを思い浮かべながら。
野菜は嫌いだと言うけど、サラダも作った。
あたしが食べさせてあげれば、しかめ顔をしながら無理に飲み込んでくれるから。
パスタを煮て、その間にレタスを千切って、トマトを切っていたとき、スバルは帰ってきた。
「ただいま」
あたしは先月買ったばかりの包丁を俎板に置いて、笑顔でスバルに抱きついた。
このとき、会話はあっただろうか。
ただ、スバルあたしの腕を払って乱暴にテーブルの前に座った。
いつもの愛しいスバルではなかった。
振りほどかれた腕がジンジンと痛むような気がして、あたしはそれ以上何も出来なかった。