月下美人が堕ちた朝
あたしが温もりをあげる。
目が覚めなくても、何も喋れなくても、あたしはスバルを愛してる。
あたしはリングにキスをして、涙を拭った。
強くならなければいけない。
あたしにはやるべきことが沢山あるから。
バッグから携帯電話を取り出すと、また着信が三件入っていた。
その全てがスバルが働いていたホストクラブからだった。
二度と関わりたくはなかったし、スバルもそれを望んでいたようだった。
だけどスバルの情報が欲しい。
あたしは自ら電話をかけ直した。
ワンコールも鳴らないぐらいの早さで、電話は通じた。
名前を告げると、男はあぁ、と、言った。
「あぁ、スバルの彼女?
ちょっと待ってくださいね」
数秒待たされ、次に出た男が、自分はクラブのオーナーだと名乗った。
「オーナーのタドコロです。
何度も電話して申し訳ありませんでした」