月下美人が堕ちた朝
ノーメイクなのに、力強い眼差しが印象的だ。

あたしは頷いて、一昨日からのことを全て話した。

「へぇ。
貴女が本当の彼女なんだ。
今まで泣きながら来た女も、自分がスバルの恋人だって言ってたけど、全部嘘。
ただの客。
良かったよ、来てくれて」

彼女はあたしを避けてベッドに座り、あたしも隣に座るように言った。

黙って言う通りに座ると、彼女は淡々と話続けた。

「私、スバルの姉。
多分貴女には私の話してないと思うけどね。
仲、悪かったから。
親の言うこと聞いて、絶対に反抗しない優等生の私をスバルは嫌ってたし、私もスバルが嫌いだった。
自由で、周りのことなんか考えないの。
それでもあいつの世界は成立してて…悔しかった。
だからね、もう十年ぐらい話してないの。
二年間も家に寄り付かなくなって、ようやく帰ってきたと思ったら、死人になってた。
涙も出ない。
悲しいのかも分からないの」
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