月下美人が堕ちた朝
「そうですか…。
成程ねぇ…」

カドワキの後ろの男が、顎を触りながら話始める。

「いやぁ、喧嘩別れをしてそのまま死に別れるなんて…。
まるでドラマですね。
はじめまして、タマキと申します」

差し出された手に嫌悪感を抱く。

あたしは軽く会釈だけして、タマキから視線を反らした。

「気を悪くさせたら、すみません。
ただね、あなたにはもっともっと詳しく話をしてもらいたいんですよ。
何故なら…」

タマキが一瞬黙り、あたしは彼に目をやった。

大嫌いな大人の目。

だけど何だか悔しくて、今度は目をそらさなかった。

タマキは唇を少し歪ませて静かに言った。


「昨日の昼間、あなた包丁を埋めましたよね?」
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