月下美人が堕ちた朝
20060726am09:01
グレーの重い扉。
誇り臭い部屋。
少し錆びたパイプ椅子。
何これ。
本当にドラマみたい。
取り調べ室は何故か妙な雰囲気で、背中にじんわり汗がにじんでいるのが分かる。
早く帰りたい。
あたしの目の前にカドワキが腰を降ろすと、パイプ椅子がギギッと嫌な音を立てた。
タマキはあたしのすぐ横に立って、顔をジロジロ眺めてくる。
気にしないように、カドワキの喉仏をジッと見つめた。
それがゆっくりと動いたと同時に、カドワキが口を開く。
「暑くないですか?」
あたしは首を横に振り、冷静を装う。
こいつらは、一体何をどこまで知っているのか。
きっとあたしの知らないことも知っているのだろう。
カドワキは続けて言った。
「正直に言います。
わたしとタマキは、あなたが犯人だと思っています」
あたしはまた口許で笑う。