月下美人が堕ちた朝
馬鹿正直すぎる。
カドワキは今までの人生で、何度も失敗や損をしてきただろう。
正直者が痛い目をみる世の中だから。
あたしだって小さい頃はそうだった。
それに気付けないカドワキに、あたしは同情心を抱いてしまった。
「あなたは一昨夜の夜、被害者と口論になり、部屋を出た被害者をサクラザワ公園で殺害。
凶器は包丁。
それを昨日の午後十二時前後に、あなたの姉であるアヤさんの自宅近くにある空き地に埋めた。
違いますか?」
脳内が一瞬グラリと揺れた。
アヤねぇの家の場所まで知ってるなんて、この短時間でどうやって調べたんだろう。
あたしは頭を抱えてうつ向くと、蝉の声に紛れてスバルの声が聞こえる。
アミ、ごめんな。
アミ、ごめんな
なんで?
なんで刺した?
ごめんなごめんなゴメンナ…。
「おい、どうした?」
タマキがあたしの右肩に触れた瞬間、反射的にそれを振り払う。