月下美人が堕ちた朝

リンカを自宅まで送り届けた後、スバルが小さく呟いた。

「男の子なら空っていう名前にして、女の子ならサクラにしよう」
と、更に続けた。

由来を聞いたら、今日リンカと見上げた空が美しかったこと。

サクラザワ公園で、あたしとリンカに出逢ったことを忘れない為だと言った。

あたしたちのちっぽけで甘ったるい約束は、昨晩散った。

まるで、おとぎ話みたいに。


「もう、何も、誰も、信じない」
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