月下美人が堕ちた朝
凍死寸前の人間みたいにガタガタ震えて、あたしはとにかくスバルに謝った。
ごめんなさい
ごめんなさい
ごめんなさい
ゴメンナサイ
ゴメンナサイ
ゴメンナサイ…
生まれてきて、
ゴメンナサイ…
それから記憶がない。
だけどスバルの話では、一頻り泣いた後に隣のテーブルに置いてあったアイスピックをスバルの喉元に突き付けたらしい。
周りにいたホストがそれを止めたんだと、スバルは言った。
それを聞いたあたしは、おかしくて笑った。
あたしはどんなに殴られても罵られても、スバルを愛しているのだと確信したからだ。
あたしは、愛してる人以外、殺したいとは思わない。
だからこそ今、思う。
あれだけ質屋に出したのに、あっという間に増えたアクセサリー。
その度に増えたスバルの給料。
その度にあたしとの時間が減った。