月下美人が堕ちた朝
それには、リンカを連れて行ったディズニーランドで、スバルに買ってもらったキーホルダーがついてる。
「これ、お前に似てんじゃん。
鍵につければ?」
手渡されたのはチップとデールのキーホルダー。
あたしは否定したけど、リンカも「にてる!にてる!」とハシャイでいたっけ。
結局リンカにも同じキーホルダーを買い与え、スバルがしゃがんでバッグにぶら下げた。
「落とすなよ」
「おとさない!」
指切りをして、リンカは続けて言った。
「スバルにぃちゃん、リンカがおっきくなって、シンデレラになったらむかえにきてくれる?」
「うん、良いよ」
可愛らしい約束を、あの二人は覚えているのだろうか。
スバルはリンカを愛していたし、リンカも本気でスバルを愛していたのに。
今ではただの笑い話だ。
「あたしだって愛してたのに」