月下美人が堕ちた朝
あたしはまた適当に返事をして、自分のコップにアイスティーを注ぐ。

輪切りの檸檬が乗った皿が冷蔵庫の奥に入っているのが見えた。

何故か衝動的に檸檬が食べたくなって、ラップを剥がして口に入れる。

口の中が酸味ですっきりする。

アイスティーの中に檸檬を3枚入れて、また椅子に戻る。

あーぁ、と、リンカが言った。

「あーぁ、スバルにぃちゃんにも食べさせたかったなぁ…」

リンカの言葉で一瞬めまいがして、あたしはテーブルに肘をついて頭を抱えた。

目を瞑っているはずなのに、コマのようなものがグルグルと回っている。

睡眠不足と空腹のせいにしよう。

そうじゃなきゃ、リンカが可哀想過ぎるから。

「アミ…?」

「アミちゃ…?」

二人の声が遠くに聴こえる。

それなのに何故か、スバルの声が耳元で一瞬聞こえた。

「アミ、ごめんな…」
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