月下美人が堕ちた朝

嘘でも良いから、それがあたしだと言って欲しかった。

何万回、何億回生まれ変わっても、あたしを探して欲しかった。

スバルはそうじゃなくても、あたしは間違いなく現世はスバルに愛される為に生まれてきたのに。

スバルが居なくなった今、あたしが生きている理由なんて皆無だ。

とても馬鹿げた思考だけれど。

キッチンからコーンスープの香りが漂ってくる。

それだけでまた吐気がした。

だけど何か食べなくちゃ、本当に死んでしまいそうな気がする。

「アミ、起きれる?
コーンスープ飲んで。
体暖まるから」

アヤねぇはテーブルに湯気のあがる皿を置いた。

あたしは無理に上半身を起こすが、まだ少しグラリと視界が揺れた。

面倒くさい、この体。

自己嫌悪に陥る前に、ソファーから抜け出す。

ようやく動いたあたしに、リンカは一瞬顔を向けて、また絵本にそれを戻した。
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