月下美人が堕ちた朝
リンカが珍しく怒っているのが分かる。

大好きなスバルを傷付けるあたしが、許せないのだろう。

椅子に座り、木で作られたスプーンでコーンスープを少しだけ飲み込む。

美味しい。

アヤねぇはまた料理の腕をあげたみたいだ。

「美味しい?
栄養摂らないと、どんどん痩せていくわよ」

向い側で頬杖をつきながら、アヤねぇが言った。

そしてあたしはまた、目の前にいる彼女に対して、どうしようない羨望を抱く。

透き通るような白い肌、セクシーな口元のホクロ。

健康的にピンク色に染まった頬は、天使みたいだ。

「何よ、人の顔ジロジロ見ちゃって。
どうせまたお母さんに似てきたなんて言うんでしょ?
自分でもたまに鏡を見て驚くわ。
特にこの眉毛」

あたしは思わずスープを吹き出しそうになる。

アヤねぇもあたしと同じことを考えていて、少し嬉しかった。
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