月下美人が堕ちた朝
20060725am07:24
痛いぐらい頭と体を洗った後、浴室を出て洗面台の鏡と向き合う。
酷い顔。
醜い体。
ストレスでボロボロの肌。
消えない目の下の隈。
血色の悪い唇。
拒食症のように痩せた手足。
膨らみのない胸。
こんな冴えない女じゃ、捨てられても仕方ない。
あたしはスバルのヘアスプレーの隣に置いてある、アベンヌウォーターを顔中に何回も振りかけた。
お風呂から上がった、二十秒以内にこれをするのがあたしの習慣。
毛穴に埃が入るまえに、綺麗な水で潤す。
高校の頃、七歳年上のアヤねぇに教えてもらった。
肌が、少しずつ潤っていく。
両手でしっかり顔を覆って、もう一度自分の顔を見た。
やっぱり何も変わっていない。
どんなに化粧品で表面を潤しても、内から出てくる汚いものは誤魔化せなかった。
あたしは溜め息を吐いて、バスタオルを体に巻きながら部屋に入る。