月下美人が堕ちた朝
スバル。

あの時は何も言えずに、苦しむ貴方を抱き締めることしかできませんでした。

どんなに喧嘩をしても、あたしと同じベッドに眠る理由が分かりました。

眠れない夜を避ける為に、ホストのバイトを始めたの?

でもね、あの時あたしは笑うことなんてできなかった。

こんなにも強くて弱い貴方を、守りたいって思ったよ。

例えいつか、あたしを忘れてしまっても。

定期的な寝息をたてるリンカを抱き寄せ、あたしは願う。

「誰かが彼を救えますように」
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