月下美人が堕ちた朝

変わるとしたら、それは多分…。

娘を虐待していた母の負い目と、それを傍観することしかできなかった姉の後悔という荷物を下ろさせるだけだろう。

あたしの過去は変わらない。

例えどんなに忘れようとしても、傷口が痛んで、忘れさせてくれない。

あたしはアヤねぇに捕まれた右腕を思いきり振り払って言った。

「卑怯者。
あの女にそっくりね」
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