月下美人が堕ちた朝
20060725pm06:31
高かった太陽がおちてきて、この部屋をオレンジ色が染色する。

あの後あたしはカズヤに抱き締められながら、散々泣いた。

メイクが落ちていることに気付いていたけど、そんなことは気にならなかった。

ようやく涙も呼吸も落ち着いて、あたしはカズヤに謝罪して顔をあげる。

心なしか、体が軽くなったような気がする。

カズヤはあたしの頬を、指で優しく拭いながら言った。

「ブサイク」

彼は笑って、あたしも釣られて笑った。

スバルと別れた次の日に、自分は違う男の胸で泣き、そして笑っている。

こんなクダラナイことで。

廊下からスリッパの音がする。

あたしは反射的にカズヤから体を離し、テーブルの上に突っ伏して寝たふりをした。

泣き顔を見せて、ユウコさんに心配させたくなかったからだ。

ドアをノックする音が聞え、カズヤが返事をするとユウコさんの声が聞こえる。
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