月下美人が堕ちた朝
場所なんて何処でも良かった。
ただ少し遠回りをしたかっただけ。
カズヤは何度も「ダメだよ、帰ろう」と言ったけど、あたしは立ち止まって懇願した。
ただ少し、空が青すぎたから。
強情なあたしに折れて、カズヤは怪訝そうな顔をしながら通学路を外れてくれた。
初めて歩く道は、知らない風景ばかりが目に映り、まるで外国に行ったような錯覚すら生み出した。
道端に生えている雑草の緑がキラキラ光ってたのを、今でも良く覚えてる。
何処まで歩いたのか。
知らない中学校の前まで来たとき、カズヤが言った。
「アミ、逃げよ」
あたしはカズヤの言葉が理解できなくて、彼の視線の先を見た。
そこには、ニヤニヤしながらあたしたちに手招きをしている男子中学生が五人いた。
だらしなく制服を着て、その内の四人は苦そうに煙草をふかしていた。
ただ一人だけ、場違いな少年が居た。
ただ少し遠回りをしたかっただけ。
カズヤは何度も「ダメだよ、帰ろう」と言ったけど、あたしは立ち止まって懇願した。
ただ少し、空が青すぎたから。
強情なあたしに折れて、カズヤは怪訝そうな顔をしながら通学路を外れてくれた。
初めて歩く道は、知らない風景ばかりが目に映り、まるで外国に行ったような錯覚すら生み出した。
道端に生えている雑草の緑がキラキラ光ってたのを、今でも良く覚えてる。
何処まで歩いたのか。
知らない中学校の前まで来たとき、カズヤが言った。
「アミ、逃げよ」
あたしはカズヤの言葉が理解できなくて、彼の視線の先を見た。
そこには、ニヤニヤしながらあたしたちに手招きをしている男子中学生が五人いた。
だらしなく制服を着て、その内の四人は苦そうに煙草をふかしていた。
ただ一人だけ、場違いな少年が居た。