明日を迎えられない少女は何を望んでいたのだろうか。

繰り返される日々

　静かな教室内に、乾いた声が響く。その声が教室中の笑いと、明るさを一掃していった。

　その言葉の先には五人の少女と、一人の少女。

　五人の少女は各々顔立ちは違うが、目を吊り上げ、鬼のような形相をしている。

　一方の一人の少女は床に座り込み、五人の少女を見上げている。

　そして、彼女たちを取り巻くように見つめる多くの視線があった。

　巻き込まれるのを怖れ、目を逸らすもの、見て見ぬふりをしてやり過ごそうとするものなど、その挙動は様々だ。

　その中には床に座る少女とつい数日前まで仲良くしていた人たちもいた。

　中には興味あり気に彼女たちのやり取りを見ている人もいる。

　さすがに好奇心旺盛な瞳で見つめるのはどうかと思うが、遠巻きに見ている彼らを責めるのは容易でなかった。

　それは私も彼らと同じだからだ。

　巻き込まれたくない。
　標的になりたくない。こんなことをやめてほしい。
　この場所にいる多くの人間がそう心の中で望んでいるのではないかと思っていた。

　少なくとも私はずっとそう思っていた。

　その五人組のうちの冷たい言葉を発するセミロングの少女、古賀明香は、私が一番関わりたくないと思う相手だ。