明日を迎えられない少女は何を望んでいたのだろうか。
 亜紀子や明香は顔を見合わせて笑う。

 でも、ここで引き下がったら、結局何もしなかったのと同じことだ。

「はっきり言うとね、こういうことをするのはもうやめたらと言いたいんだけど」

「何で私に指図するの? 止めないわ」

「やめろって言っているんだけど」

 私を見て、明香は大げさに肩をすくめおどけてみせた。

「怖―い。さすが優等生のいい子ちゃんだよね。でも別にこんな子を庇わなくていいじゃない。この子無愛想だし、見ていてイライラするのよね。みんなそう思っているから、何も言わなかったんでしょう」

 明香は得意げな顔でクラス中を見渡した。

 私は肩をすくめる。

「そうかな。私はあなたのそんな行動を毎日見ているほうがイライラするけど。それに別にこの世の人が全てあなたのご機嫌取りのために生きているわけじゃないのよ」

 明香の形相が険しく、鬼のようになる。

 でもそんなころで怯むならもともといじめを止めになど入らない。
 内面は心臓が口から飛び出してきそうなくらいドキドキしていたけれど。


 私は微動だにせず、彼女を見据えた。

 明香は溜め息を吐いた。

「あーあ。せっかくの気分台無し。こんな子ほっとこう」

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