明日を迎えられない少女は何を望んでいたのだろうか。
「何か呪いみたいじゃね?」

 放課後、荷物を整理し、帰ろうとした私の耳に岡部君の声が届く。

 彼はクラス数人と盛り上がりを見せていた。

「呪い?」

 その言葉に彼の友人がどよめく。

「だって今までの奴ってみんな、永田をいじめていたやつだよな。正岡なんて古賀の肩を持っていたし、みんな永田に恨まれていてもおかしくないやつらだよ」

 もうクラスに明香たちはいない。だからこそ、そんな話を始めたのだろう。
 だが、言われてみれば確かにそうだ。

 絵里子、優香、そして正岡。
 正岡は芽衣の死後、いじめの証拠があると、明香の両親に流した可能性もある……。

「そんなのやめてよ。あの人たちには裏の顔があってそれが暴露されただけじゃない」

 そうぴしゃりと言ったのは馬場桃子だ。彼女は朝の意気揚々とした顔とは異なり、青ざめている。

「何怒ってんだよ」

 怪訝な顔で彼女を見ていた岡部君が指を鳴らす。

「お前、永井がいじめられて手のひら返したよな」
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