明日を迎えられない少女は何を望んでいたのだろうか。
お寺の住職さんは私達が芽衣の墓にお参りに来たというと快くあげてくれた。その時、松下さんと住職さんが妙に親し気なの気付く。
温かいお茶を口に含み、ほっと息を着いた。
「よくここにきているんですか?」
私の言葉に松下さんは頷く。
「なぜ?」
「住職さんと仲が良さそうだったから」
松下さんは少し寂しそうに笑う。
「あれからほぼ毎日来ているよ。ここに来たら芽衣と会えるんじゃないかってね。さすがに彼女の家に毎日通うのは気が引けるから、ここに寄らせてもらっているんだ」
私は明香のいっていた彼氏の話は嘘だと思った。恐らく優香が言っていた通り、遊びに行ったことがあるだけの仲なんだろう。
「やっぱり芽衣と付き合っていたんですか?」
「付き合っていた、というか、今でも付き合っていると思っている」
彼は苦しそうに言葉を発した。
彼もある意味被害者なのかもしれない。
勝手に好きになられて、結果的に一番大事な彼女を失うことになった。