明日を迎えられない少女は何を望んでいたのだろうか。
「途中まで送るよ」
「私は一人で帰れます。もう少し芽衣のそばにいてあげてください」

 彼がそう言ったのは、大事な彼女の墓参りに来た私への配慮だろう。
 私は松下さんと一緒にお墓に行き、墓参りを済ませる。
 そして、松下さんに頭をさげるとお寺を後にした。

 お寺を出るころにはもうすっかり雨がやみ、晴れ間がのぞき始めていた。
 通り雨だったんだろう。

 芽衣が復讐なんてするわけがないとは思っていた。

 だが、松下の芽衣への思いの深さを知り、ささやかな幸せをつぶそうとした明香たちを恨んでいたとしてもそれは無理もない。
 それだけのことをしでかしたのだ。


 私が家に帰ってくると、ちょうど携帯電話に電話が掛かってきた。それは優香の母親からだった。

「優香が熱を出して倒れていて」
「大丈夫ですか? 病院には?」

「さっき連れていきました。でも、ずっと気になることがあって。何度も永田さんの名前を呼んでいて、ごめんなさいと。永田さんって学校で事故で亡くなった子ですよね」

 私はその話を聞き、どきりとする。
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