明日を迎えられない少女は何を望んでいたのだろうか。

「優香さんのクラスの永田芽衣さんが亡くなったのは知っておられますよね？」

　優香の母親は頷く。

「人伝に聞きました。だからショックを受けて？」

　私はあえて首を横に振る。

「彼女は事故だと言われています。でも、自殺だという噂もあります。古賀さんや御手洗さん、渋田さん、加古川さんたちと一緒に優香さんは彼女をいじめていました」

　優香の母親は立ち上がる。

「まさか。優香がそんなことを」

　彼女の母も人の親なのか、私の言った事を素直には信じられないようだった。

　でも彼女がしていたことはクラスの誰もが知っている。

「私がそんな嘘を吐く、メリットってありますか？　他のクラスメイトに聞いてくれれば同じことを言うと思います。正岡先生は知っていて見て見ぬふりをしていました」

　その言葉に優香の母親の顔色が変わった。

　彼女の娘を信じる気持ちに疑いが生じたのだろう。

「あの子を問い詰めてきます」