明日を迎えられない少女は何を望んでいたのだろうか。
「あれは事故でしょう? 私たちには責任なんてないわよ」

 そう反論するのは既に明香だけになっていた。由紀と亜紀子はクラスからの突然のバッシングに泣き出してしまっていたのだ。

「あんただって何か言いなさいよ」

 明香が亜紀子の背中を叩き、彼女は泣きながらクラスメイトを見る。彼女は明香の手を振り払い、そのまま教室から出て行ったのだ。誰もそんな彼女を引き止める人もいなかった。

 彼女は自業自得だと思うし、私は同情するつもりも、彼女を追いかけるつもりもない。


 数の力はすごい。だが、その力を芽衣を助ける方には向けられなかったのだろうかと考えずにはいられなかった。

 そうしたら芽衣がここで笑ってくれていたのかもしれないのに。
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