明日を迎えられない少女は何を望んでいたのだろうか。
 人殺し、とパソコンで印字されていたのだ。
 あたりを見渡しても人影はなく、それを折り畳み、ポケットに入れた。

 横を見ると岡部君の靴箱にも同じようなものが入っていたようだ。
 彼は私と目が合うと、肩をすくめる。

 どうやらほかの人の靴箱にも入っていたんだろうか。

 私たちは靴を履きかえると、校舎の外に出た。

 もう辺りは夕焼けが差し込み、周囲の空気を朱色に染めていく。

「誰が犯人だと思う? 明香の両親はその誰かを訴えるかもしれない。だから、止めたいの」

 彼は「竹下らしい」といい笑う。

「俺にはさっぱり。でも、一人でやっているなら加古川に教室に閉じ込められた時に教室内にいたやつは違うと思うよ。それくらいかな」

「そうだよね」

 現状では誰がと絞り込むのは難しい。
 何かを見落としているのか、まだヒントがたりないのかどちらかだろう。

 今までクラス内で起こったことがどこからどこまでされたことなのかにより結論は変わる。




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