明日を迎えられない少女は何を望んでいたのだろうか。
 私はクラスメイトの姿を見て、視線を走らせた。

 だが、いつも通りのよくある景色が広がっている。

 昨日、あれから家に帰り考えてみたが、誰がこんなことをしているのかさっぱりわからなかったのだ。

 行動を起こすからにはどこかにいつもと違う行動があるはずだ。

 だが、記憶を思い返してみても変わったと感じる生徒はそんなにいない。


 では、芽衣の復讐をしそうな人として考えるとどうだろう。

 順当に考えると、一番恨みを持っていておかしくないのは、松下先輩や芽衣の両親だ。

 だが、同じ学校の生徒でない彼らが実行に移すのはまず不可能だ。

 大垣君などの芽衣を好きだった生徒や、馬場さんなど親しかった生徒が次の候補にあがる。だが、男子生徒は実行するのが難しいし、馬場さんたちがそこまでするのかといえば正直疑問だ。

 それに、芽衣のことがあって、成績が落ちた生徒が少なくない。

 岡部君が芽衣の死を悲しんでいたように、意外な人が想像以上に悲しんでいる可能性もある。

 考えれば考えるほどわからなくなり、深みにはまっていく。
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