明日を迎えられない少女は何を望んでいたのだろうか。
 太陽が先ほどよりも傾きを増し、西の空に沈みかけ、空が赤く染まっていく。私は夕日に染まっていく松下さんの顔を見つめていた。

 私は何度も決意を固めては、躊躇する。その繰り返しだ。


「どうかしたのか?」

 何度か繰り返した時、松下さんは困ったように微笑む。


 私は勇気を出して、口を開く。

「私のクラスで奇妙なことがあったんです」

「芽衣と同じクラスだったよね?」

 彼の言葉に頷く。

「私のクラスの担任の先生は学校辞めました。私生活の問題から、学校にいられなくなったみたいです」

「へえ」

 松下さんは特別興味も示さず相槌を打っている感じだった。

 芽衣がいないクラスに興味がないのは当然のことだ。彼の本心と態度が一致するのであれば。

「クラスメイトも学校を辞めたり、不登校になったり、病気になったり、学校で孤立したりしています。みんな、永田さんをいじめていた人です」
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