明日を迎えられない少女は何を望んでいたのだろうか。

「言わないとダメだよね」

　彼女はそう小さな声でつぶやいた。

「明香さんがね、彼女のストラップを隠そうと言い出したの。私たちが永田さんを捕まえている間に、明香さんがそのストラップをどこかに隠した。その後、明香さんが永田さんにストラップがある場所に連れていくからといい、連れ出したの」

　優香は一呼吸置いて話し出す。

「私たちはそのまま教室で明香さんたちが戻ってくるのを待っていた。しばらくして明香さんが戻ってきて、あとは永田さんが戻ってくるのを待っていようと決めたの。でも、永田さんは戻って来なくて、永田さんが転落してたとあなたから聞いたの」

　おそらく明香は屋上にストラップを隠したのだ。

　私はなんとなく彼女たちがなぜあのとき驚いていたのか分かった気がした。まさか彼女が転落するとは思わなかったのだろう。

「ストラップ」

　あゆみが眉間にしわを寄せる。

「芽衣の携帯についていたやつ。シルバーのぼんぼんがついていたやつ」

　あゆみは携帯電話を取り出して、優香に見せる。


「これでしょう？」