明日を迎えられない少女は何を望んでいたのだろうか。
 あゆみは先生が来たのに驚いたようだったが、何も言わなかった。

 屋上の鍵をかけてもらうと私たちは屋上に出る。

 屋上は何もなく閑散としていた。芽衣が落ちたとされる中庭側にはフェンスに近付けないように敷居が作られていた。

「どんなもの?」

 あゆみは持ってたストラップを見せる。

「全く同じではないですが」

「分かった。私も手伝うわ」

 私たちは手分けして屋上を探す。十分の約束だったが、先生はそれ以上たっても何も言わなかった。だが、それらしきものは見つけられなかった。

 もう日が完全に落ち、辺りが闇に包まれかける。

「もうそろそろ帰りなさい」

 屋上を探す私達に佐田先生がそう呼びかける。

 鍵を出してくれたのも佐田先生の好意なのだ。私とあゆみは屋上を諦め、先生にお礼を言い、その場を離れた。
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