明日を迎えられない少女は何を望んでいたのだろうか。
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 それから私達のクラスで芽衣の呪いの噂が二度と立つ事はなかった。不思議なことが起きなくなったからだ。

 加古川絵里子と渋田由紀は何事もなく学校に通っている。

 御手洗亜紀子と古賀明香はは少しして佐田先生が転校することになったと教えてくれた。

 クラスメイトは二人とは距離を取っているが、嫌がらせをするような人もほとんどいない。

 恐怖を感じる必要がなくなったからか、明香と同じことを繰り返すのを恐れていたのかはわからない。

 私は岡部君には解決したとだけ伝えた。

 彼はいつ、誰がという具体的な事は何も聞かずに、「解決したなら良かったよ」と笑顔で言っていた。

 彼自身、犯人を追い込むつもりはなかったのだろう。

 あゆみは名乗り出ると言っていたが、それは私が止めたのだ。

 その決断が良いのか一般的にどうなのか私にはわからない。だが、私はそれで良いと思っていた。なにより芽衣がそう望んでいるとは思わなかったのだ。
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