明日を迎えられない少女は何を望んでいたのだろうか。
 彼女は今までと同じ、学校生活を送っている。時折、芽衣のストラップを見て悲しい笑みを浮かべることもある。

 佐田先生はストラップが見つかったことを知らないため、私達の言っていた事は思い過ごしだと考えているようだ。

 芽衣の死は事故であり、防ぎようがなかった。クラスメイトが直接的にかかわっているのはあり得ない、と。

 私とあゆみで話し合い、そういう結論を選択したのだ。

 ほとんどがあゆみと優香のしたことだが、あの靴箱に入っていたビラは心当たりがないらしい。この学校に通う、別の人の仕業だろうと私たちは結論付けた。


 優香は親との話し合いで県外に住む祖父の家に住み、そちらの学校に転校する方向で話が進んでいるそうだ。

 それが彼女の決断なのだと、私もあゆみもそのことを何も言わなかった。

 チャイムを鳴らすと、優香が玄関まで出てくる。

「あがって」
「家の人は?」
「出かけているよ」

 彼女はそういうと、わたしとあゆみを自分の部屋に通した。

 今日、彼女から話があると、呼び出され、学校帰りに寄ったのだ。

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