明日を迎えられない少女は何を望んでいたのだろうか。
少女の死
 私は脇の下から取り出した電子体温計に表示された温度を見た。体温は三十八度五分を示していた。

 その体温計を部屋まで付き添ってくれた母親に手渡す。彼女は「今日は休みなさい」と私を諭す。

 私は天を仰ぐと、彼女の言葉に頷いた。

 母親は部屋を出て行くと、薬と水を手に戻ってきた。

 私は解熱剤を飲み、再びベッドに横になる。母親は水を残し、部屋を後にする。

 私はため息を吐いた。

「確かにキツイわけだ」

 今日学校に行こうと思ったがなかなかベッドから起き上がれなかったのだ。

 起きて階段を降りようとしたが、足元がスポンジの上を歩いているように安定しない。

 変なおり方をしていたのか、リビングから母親が出てきた。

 そして、彼女に額に触れられ、部屋に戻るように諭されたのがついさっき。

 彼女に言われるがままに熱を測ると、想像以上の高熱だったのが発覚してしまったのだ。

 私はベッドに横になりながら、青い空を見上げた。
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