明日を迎えられない少女は何を望んでいたのだろうか。
 いつもは賑やかな教室内が今日は静まり返っている。

 芽衣の事故が起こった翌日、私は微熱のある状態だったが母親に無理を言い学校に行った。

 朝一番に正岡から芽衣の訃報が聞かされた。

 芽衣はもう病院に運ばれた時にはもう手の施しようがなかったらしい。

 生前の彼女と仲が良かった人は泣いていた。

 明香たちは素知らぬ顔で過ごしているが、芽衣の死については一切触れなかった。

 明香たちを冷やかな目で見ている人はいたが、誰もいじめをとめなかったからか、明香が怖いからかはわからないが、誰も直接的に責めたりはしなかった。

 皆、あえて芽衣の名前を出すことを避けているように感じられたのだ。

 芽衣が落ちたのは屋上からで、柵の留め金は緩まってたそうだ。
 何らかの経緯で芽衣が柵から身を乗り出し、落ちたというのが警察の見解のようだ。


 その週末、芽衣の葬儀が行われた。

 クラスメイト全員が行くのは逆に負担になるのではないかということで、芽衣の葬儀にはラスを代表して学級委員の私と倉橋総、そして、担任の正岡が行くことになった。


 芽衣の葬式は近くの葬儀場で行われるらしい。

 休みの日という事もあり、私達はその近くで待ち合わせる事になった。

 葬儀場の近くの交差点に既に着ていた正岡と倉橋に頭を下げる。

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